社会保険労務士事務所

エムピーティスコルタオフィス

MPT Scorta Office

コラム

column

2024.02.04

ある口こみサイトで自社への悪意あるコメントを見つけました。

【相談内容】

社名をインターネット検索した際、口コミサイトで、悪意あるコメントを見つけました。

内容から、少し前に退社した元職員であると推測されます。

その職員は、入社後間もなくから、問題行動やスキル不足、顧客からのクレームが目立ち、

指導を重ねていたものの、結局半年後に自主退社しました。

確証はありませんが状況的に間違いないため、名誉棄損か、損害賠償で本人を訴えたいと

考えていますが可能でしょうか。

かかる時間や一般的な費用面、また、訴えることが難しい場合、取れる措置について教えてください

【回答内容】

取り得る手段としては、

①削除依頼
②投稿者に対する責任追及

が考えられ、②投稿者に対する責任追及としては、民事上の損害賠償請求及び刑事上の被害届提出・

告訴(名誉毀損罪・信用毀損罪・業務妨害罪等)があります。

もっとも、いずれの責任追及を行うにしても、まずは、投稿者が誰であるか、その本人の特定が必要と

なります(刑事上の手続においても、投稿者が特定できていない場合には警察が受け付けないことが

非常に多くなっています。)

今回のケースですと、投稿者が元職員の方の可能性があるとのことですが、あくまで推測に過ぎません

ので、特定が必要となるケースといえます。

相手方の特定としては、プロバイダ責任制限法に定める発信者情報開示請求という手続を利用すること

になります。

開示請求を行うには、①不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信(特定電気通信)で

あること、②権利の侵害が明らかであること(権利侵害の明白性)、③開示を受ける正当理由があるこ

と、④通信記録(ログ)が残っていること(④の観点からは書き込まれてから早期に行うことが重要で

す。)が必要です。

この開示請求は裁判を使わなくても可能ですが、実際に開示されるためには裁判が必要となることが

一般的です。

この、発信者情報開示請求によって発信者が特定された場合には、その投稿者に対する損害賠償請求を

検討します。この損害賠償請求にあたっては、インターネット上への情報発信により損害が生じたとい

う、相当因果関係が必要な点は注意が必要です。

どのくらいの金額の請求ができるかについては、情報発信の内容や、それによりどのような損害が生じ

たかという点と関係するため、一概にいうことはできませんが、一般的には逸失利益や、情報開示請求

等も含めた調査費用等を請求することとなります。

弁護士費用につきましては、削除請求や、発信者情報開示請求(任意手続・法的手続)、損害賠償請求

(任意手続・法的手続)、告訴等でそれぞれ費用が発生することとなりますが、弁護士費用は

その事案等により大きく異なりますので、ご相談される弁護士に確認されることを

おすすめいたします。